第3回 SDGsクリエイティブアワード 受賞作品

SDGsクリエイティブアワードGOLD AWARD

雪ヶ谷化学工業株式会社
「中小企業がSDGs?」

目標17

▼作品意図▼

雪ヶ谷化学工業はこれまでもCSRの一環としてSDGsに関連する活動をしてきましたが、2020年に全社一丸となってSDGs企業になることを決意し、活動をはじめました。ムービーではこの1年間の取り組みを紹介することにより、日本を支えている中小企業こそがSDGsをはじめるべきであること、やってみると意外にできるし、モチベーションも高まることを伝え、より多くの中小企業がSDGsの取り組んでくれるきっかけになれば、と考えました。わたしたちはSDGsの活動をすることによって、会社が正しい方向に向かっていると思えましたし、よりよい会社になっていると実感できました。この経験をたくさんの人々にも味わっていただけたらうれしいです。

▼受賞理由▼

SDGsに取り組む中小企業はまだ少ない中で、雪ヶ谷化学工業株式会社がSDGsを取り込んでいくプロセスをドキュメントしたこの作品は、企業がどのようにSDGsと向き合っていけばよいのか、その素晴らしいお手本を示しています。
取り組み始めて2年弱で会社全体への浸透を果たし、10年後のビジョンと野心的な目標を策定、それを実現するアクションを次々と実践する。そしてその行動が、企業価値の向上や新しいパートナーシップを生み出すなど理想的な展開を見せています。なにより登場する社員の表情に、SDGsと向き合って良かったという説得力を感じる作品です。
(審査員:国谷裕子)


部門①: SDGs普及促進映像大賞・学生

池田遼太、鳥越凜歩、堀田遥生
「だからなんだ」

目標10

▼作品意図▼

最近街中で多くのSDGsのロゴを目にします。SDGsへの注目は増えてきてはいますが、まだまだSDGsについて知らない人が多くいます。中でも、中高生の人はSGDsのことをよくわからない人が多いです。では、今の私たちにできることとはなんだろうか。何も大きなことをしようとしなくていいのです。小さいことからコツコツと初めてばいいのです。私たちは、「平等」という言葉に着目しました。今の世の中は多くの固定概念により不平等を引き起こしています。その固定概念を私たちが乗り越えていくことが大切だということを伝えるためにこの動画を制作しました。

▼受賞理由▼

ジェンダー、国籍、宗教の違い・・・「だからなんだ」という強いキャッチコピーと共に、みんな一人の人間だ!ということに気づかせてくれるセンス溢れる作品です。トランスジェンダー役など多様な属性を演じている若者たちの眼差しに、私たちが無意識のうちに心の中に作っている壁を軽々と乗り越えていくパワーと希望を感じました。学校を舞台に、SDGsの根幹をなす「人や国の不平等をなくそう」という目標について、チャンスが平等に開かれ、誰も置き去りにしない社会を訴えたこの作品は、編集も実に見事で、映像的にもとても魅力的でした。


部門①: SDGs普及促進映像大賞・一般

CONTI「きみとぼく」

目標10

▼作品意図▼

「人や国の不平等をなくそう」という目標に取り組む上で、大切になるような考え方を、前向きで親しみやすいアニメーションで表現しました。「きみとぼく」の違いに興味を持つこと。多様な存在をそのまま認めること。そして、小さな共通点を見つけること。少し見方を変えると、そこに思いがけない発見があるかもしれません。
私たち大人の世代だけで、世界中の不平等を完全になくすことは、とても難しいことだと思います。未来を担う子どもたちもSDGsに興味を持ち、大人たちと一緒に格差や不平等について調べ、考えるきっかけになるような作品を目指して制作しました。

▼受賞理由▼

不平等をなくすためには、多様性を認め、それを力に変えていくことが大切です。そのことをかわいいイラストを使って、また、言葉としてもわかりやすく表現した本作品は大変すばらしいものでした。三角や四角に見えるものも角度を変えれば別の形に見える、ということを示したところも良いと思います。結局見方を変えればみんな同じなのですよね。さらには、その形が最後には目標10のアイコンへとつながっていくところには、映像での表現ならではのクリエイティブさを感じました。その発想は秀逸です。


部門②: SDGsローカルアクション映像大賞・学生

高知大学地域協働学部さんちょく
「この海、この町を守るために
~土佐佐賀産直出荷組合の取り組み~」

▼作品意図▼

高知大学地域協働学部の学生7人で一昨年から土佐佐賀産直出荷組合に実習で関わっています。
土佐佐賀産直出荷組合の取り組みを知っていく中で、海を守るため、地域の人や資源を守るために熱心に活動されている土佐佐賀産直出荷組合の取り組みを知り感銘を受けました。
地域の資源・人・環境を守っていくためには、1つの企業だけではなく、多くの企業の力が必要になります。この動画を見て、目の前のことを考えるだけでなく、「将来を見据え」て、今自分たちに何ができるのかを考え続ける企業が増えて欲しいと考えています。
今ある地域の資源を将来に繋ぎ、地域の人がその地域に住み続けられる社会を作るため、もっと多くの企業にSDGsに取り組んでいただきたいと思い、この作成に至りました。

▼受賞理由▼

「さんちょく」の主な強みです。
①職をつくる 働くとこがなければ自分で立ち上げる
②女性活躍  従業員は地域の女性やベトナムの実習生
③海を守る  魚を余すことなく最後まで使う
④健康    家族が安心して食べられるもの
⑤町を守る  商品が売れることで町が循環。若い漁師が増え、若い家族が生まれる
特に①の課題発見力と柔軟な発想力と行動力で、社会に新しい価値を提供する職業を生み出したことは、感動的で、全国のロールモデルとなります。


部門②: SDGsローカルアクション映像大賞・一般

あさおのSDGs
「わたしたちの街と人を幸せにする17の目標
~麻生区SDGs推進隊~」

▼作品意図▼

川崎市の中でも農業へのアクセス、自然環境が豊かである麻生区だからこそSDGsのゴールにつながる可視化できる人・モノ・コトは多く存在すると考えています。学校教育だけでなく、区内小中学校を横断する形でSDGsを知り、行動し、その成果物としてSDGsマップを作る活動をしています。
このアクションによってローカルSDGsの深度を強めること、活動を2030年まで続けていくことで、次代のまちづくりの主役である子どもたちのコミュニティが出来ること、そして固定概念が大人ほどない彼らだからこそ、大人へのリターンエデュケーションにつなげ、活動の継続=SDGsの達成に向かっていけるものと思っています。23人(動画は22名)の未来に馳せる思いを表現しました。

▼受賞理由▼

SDGsとはなにか。この問いに誠実に答えられる成人は多くない。なぜなら、分かっていながらしてしまった不誠実な行為が人それぞれあって、SDGsとは今の成人にとって過去の反省になっているからです。
麻生区の取り組みはまだ反省することになっていないこれからの人たち(小学生など)に、未来を豊かに生きていくためをどうしたらいいかを自分で気づかせる取り組みです。
本質的にこのSDGsクリエイティブアワードというものは映像の良し悪しだけを審議するものではなく、活動そのものの中に未来への創造性を問うているものです。
麻生区から放たれる創造力が未来を豊かにする活動へと広がっていくことを期待しています。


審査員特別賞

波田野 優
「Stop Child Labour
〜みんなの一歩が児童労働のない世界へつながる〜」


部門①:
SDGs普及促進映像部門

目標8

▼作品意図▼

私は小5の自由研究で児童労働を調べた時、同じ年頃の多くの子どもたちが子どもの権利を守られず、教育の機会を奪われ、過酷な労働をしていることを知りました。同時に、今私が何の不自由もなく学校に通い勉強をしたり、友だちと遊んでいる日常生活との大きなギャップを知り、心を痛めました。SDGs8.7では2025年までに児童労働撤廃となっています。多くの日本人が輸入品に頼った生活をしていることは、日本人一人一人が児童労働に関わっている可能性がとても高いということをSNSで発信、啓発したいと考えました。見た時にパッと情報が入るようにテンポ良くし、キーワードを示し、シンボルになるような場所で撮影しました。この動画を見た人にとって、「児童労働撲滅のために自分にできる事は何か」考えるヒントになることを願います。みんなの一歩が児童労働問題解決の大きな可能性を作ることができたらいいなと考えます。

▼受賞理由▼

小学校6年生の波田野さんが、体当たりで想いをこめて語りかける1分。
それはとてもパワフルな問いかけとなっています。
自分と同じ子供たちのなかに、学校に行くことがあたりまえでない環境に置かれた子供たちが存在する、そのことと、自分が暮らす環境との大きな違い、その事実に真正面から向き合って作られた作品だからなのでしょう。
あらゆるものを輸入に頼ることで実現出来ている私たちのこの”豊な生活“は、児童労働に加担していることに繋がっていないだろうか?
そう問いかける波田野さんが情熱をこめて投げかけた直球はとても鋭く、重いものです。


大和証券グループ賞

NGO LOOB
「“ごみはポップな宝物! プラスチック汚染のない世界に向けて 海を越えてグローバル・パートナーシップ”」


部門②:SDGsローカルアクション映像部門

▼作品意図▼

“ごみはポップな宝物!
プラスチック汚染のない世界に向けて
海を越えてグローバル・パートナーシップ”
世界の共通目標であるSDGsは、国という枠を越えてグローバルに取り込む必要があります。プラスチック汚染はいまや一つの国の問題ではなく、海を越えて繋がっているからこそ、その解決には海外とのパートナーシップの構築が必要です。本動画はフィリピンでの貧困支援活動が20年目を迎えるNPO法人LOOB JAPANによる廃棄物のアップサイクル活動を紹介します。ごみを宝物に変えることで、貧困の人々の生活を支え(目標1)、海や陸の豊かさを守り(14、15)、消費活動を見直し(12)、国際的なパートナーシップを充実(17)させることができます。

▼受賞理由▼

廃棄物汚染問題を製品へのリサイクル活動につなげる取組みを通じて、
「問題解決にはコストがかかり、地道で膨大な作業が不可欠である」というメッセージが強く表現されている。その一方で、映像を通して感じる、カラフルで楽しいポップさが若者らしく、この動画を観る人が、「ごみを気楽に捨ててはいけない」と自戒するとともに、彼らを応援したいと感じる作品であると評価。また、この活動での日本とフィリピンのパートナーシップが紹介されており、「SDGs達成のためには国という枠を越えた活動が必要だ」というメッセージにも共感。


ANA賞

龍谷大学農学部アグリSDGs京都プロジェクト/4年生広瀬真慧
「草食べに行きませんか? 〜アグリSDGs京都プロジェクト2020〜」


部門②:SDGsローカルアクション映像部門

 

▼作品意図▼

このプロジェクトは農学を学ぶ学生が料理人、中東久雄さんと出会い、刺激を受け「農業と自然環境との関係」や「持続可能な食」について考えるというものです。
中東さんは自然の山野草(雑草)を活用した料理でミシュランなどに高く評価されています。栽培された野菜にはない、大地の豊かさを感じさせてくれる草々を中東さんは知り尽くし、愛しんでいます。
この授業のユニークな点は、学生が実習の様子を撮影し、各々テーマを見つけ、映像にしてシェアするということです。
編集をしながらSDGsについて深く考えることができます。同じ実習を受けた学生が違う感じ方をしていることを知ってまた考えます。簡単には答えのでないSDGsを一時のイベントで終わらせず考え続けることが大切なのではないかと思います。
この作品はプロジェクトのモットー「刺激を受け、共有し、考え続ける」を伝えるために作りました。

▼受賞理由▼

課外活動に参加した生徒の皆さんの「草を食す」という非日常の体験が素直に表現された作品でした。それぞれがこの体験をどう受け止め、また、「今後の新しいサステナブルな食がどのような広がりを見せていくのか」という点に将来の可能性を感じました。
大地の豊かさ、海の豊かさを無限に味わえる現代において、身の回りに何気なくある草木を食すことを通じてサステナブルな食について深く考えさせられる作品でした。


札幌市長賞

北海道旭川農業高等学校 放送局
「農業高校生が考え、行動するSDGs【1】旭川農業高校水稲班」


部門①:
SDGs普及促進映像部門

目標12

▼作品意図▼

北海道旭川農業高等学校農業科学科水稲班では今年から新たな企画を始動させました。それは地元酒造メーカーである高砂酒造様の協力のもと、酒米を作り、できたお米で日本酒を作るものです。さらには酒造りの副産物として精製される酒粕で、加工品を開発し販売するという『旭川日本酒リージョナリークリエイト事業』の形成を目指したプロジェクトです。今回、私たち旭川農業高校放送局は「農業高校生が考え、行動するSDGs」をテーマに、本校で行われている取り組みをたくさんの方々に知っていただけるよう、ひとつの映像にまとめました。

▼受賞理由▼

農業は北海道を支える重要な産業の一つであり、札幌市はその恩恵を大きく受けている都市である。本作品は、高校生が地元企業と連携して育成した酒米で日本酒を作るとともに、酒粕で肉加工品の製品を開発することを目指すものであるが、日本酒醸造は気候変動の影響を大きく受ける事業の一つである。連携企業である高砂酒造は、自然の雪と氷を活用した雪氷室内での日本酒づくりを地球温暖化の影響で2016年に廃止した歴史がある。今後、気候変動の影響が深刻化することが予測されている中、GAP取得や高密度播種栽培などの持続可能な酒米作りを通じ、高校生と企業等が連携した取組が広がることを期待し、札幌市長賞を贈呈する。


JICA特別賞

大館鳳鳴高校社会部「「森を守ろう」から繋がる想い」


部門②:SDGsローカルアクション映像部門

目標15

▼作品意図▼

私達、大館鳳鳴高校社会部は、地域貢献のために多くの活動をしてきました。活動を通して、木は私達が暮らしている地域でたくさんの役割を果たしているため、森林を守る必要性を感じました。そこで、SDGsの目標の15番「陸の豊かさを守ろう」に焦点を当て、調べることにしました。その活動の一つに、廃材を使っておもちゃなどを作り、幅広い年代の人々の木に触れる機会を増やす「木育」、木を植えることで森を維持すると同時に海の自然も守る白神ネイチャー協会の「植樹」など、調べてみなければ分からない、地域の方々の想いがありました。このことを多くの人に知ってもらい、もっとSDGsを意識して生活する人が増え、持続可能な社会に近づいてほしいと思い、英語字幕をつけて動画を作りました。


▼受賞理由▼

コンテストの目的・狙いであるSDGsの啓発映像としてのメッセージがしっかりしており、SDGsの重要概念である、複数ゴールが実はつながっているとの視点も組み込まれ、わかりやすく説明されているため。
なお、選考においては、SDGs達成年限である2030年の社会の担い手となる高校生による作品である点も高く評価した。


最終審査ノミネート 作品

こちらからご覧いただけます。>第3回 ファイナリスト作品